ナースの方は日々、患者さんの命と向き合っています。
業務中常に緊張感を持っていることはもちろん、プライベートでもなかなか気が休まらないナースの方も多いのではないでしょうか。
命と隣り合わせの労働環境である上に、同僚や上司のナースや医師との関係、患者さんとの人間関係などストレスの溜まりやすい職業でもありますよね。
(参考:『ナースが人間関係の悩みを乗り越えるための5つの方法』)
また、夜勤などで不規則な生活も相まってパニック障害を引き起こすナースの方も少なくありません。
患者さんの容態が急変する、同僚や上司のナースの方からいじめに遭うなど、思いがけない事態に一時的なパニックを起こすことはナースの方なら珍しくありません。
しかし、何もない状態でパニックに陥るのがパニック障害です。
今回は、ナースの方のパニック障害と乗り越え方についてご紹介します。
ナースがパニック障害を乗り越える方法
ナースの方がパニック障害を乗り越えるためには4つのステップを踏みます。
最初から完治を目指すのではなく、治療の目的を決め徐々に段階を踏んでいくことで無理なく症状を改善させることができるのです。
step① 服薬でパニック発作をコントロール
まずは、パニック障害の根本であるパニック発作を止めるために薬を服用します。
パニック発作を抑える薬は、抗うつ剤(SSRI)と抗不安剤(ベンゾジアゼピン誘導体)の2種類です。
抗うつ剤(SSRI)
まずは、抗うつ剤を少量服用します。抗うつ剤は副作用で吐き気や腹痛を引き起こすことがあるため、医師の指示に従い少量から服用をスタートします。
パニック発作を抑える効果が期待できますが、十分な効果が発揮されるまで2~4週間かかります。
そのため、抗うつ剤の効果の効きを早める抗不安剤(ベンゾジアゼピン誘導体)を同時に服用します。
抗不安剤(ベンゾジアゼピン誘導体)
抗不安剤を抗うつ剤と同時に服用することで、パニック発作を起こりにくくさせます。
しかし、抗不安剤は依存性があるとも言われています。
抗うつ剤と同様、必ず医師の指示通りに服用しましょう。
服用開始時は、量を守っているにも関わらず、下痢や吐き気、不安やソワソワすることがあるかもしれません。
しかし、これらの症状は異常が発生しているわけではなく、服薬量を守っていれば1~2週間で自然に治まるので安心してください。
step② 予期不安や広場恐怖を改善
薬が効き始めるとパニック発作が起こりにくくなり、予期不安※1や広場恐怖※2も自然と減ってきますが、完全に発生しない保証はありません。
※1予期不安・・・過去にパニック発作を引き起こした方が「また発作が起きるのでは」と強い不安感を抱き続ける症状です。
※2広場恐怖・・・人集まる駅や公共機関に対して強い不安感を抱く症状です。大勢の人が集まる場所に行ったり、自分が行く姿を想像するだけで発作が起こることもあります。
そこで、抗うつ剤(SSRI)の服薬と並行して認知行動療法にも取り組みましょう。認知行動療法と組み合わせることで、予期不安や広場恐怖を改善しやすくなります。
認知行動療法
発作に関係した場所や状況を避けるなど、回避行動が強いナースの方にはあえてその場所に赴きトレーニングを行う治療方法です。
step③ 再発防止のために心と身体のケア
パニック発作、予期不安、広場恐怖などのパニック障害を克服し、再発しないようストレスに負けない心と身体のケアを行います。
睡眠を十分にとった規則正しい生活はもちろん、バランスの良い食事や適度な運動などを心がけることでストレスへの免疫力をつけます。
この際、症状が軽減されたからと言って服薬量を自己判断で調整してはいけません。
突然服薬をストップすることで頭痛や不安感、吐き気やイライラが生じることも。
そのような症状が現れるとこれまで続けてきた治療が台無しになり、振り出しに戻ることもあるので注意しましょう。
step④ 薬の量を減らし服薬を終了する
徐々に体力が回復してきたら、医師の指示に従い服薬量を減らします。
自己判断で服薬量を調整すると、不安やイライラなどの症状が現れます。
医師から指示が出るまでは服薬を続けること、ストレスに負けない身体を作るため規則正しい生活を送ることを最後まで心がけましょう。
まとめ
パニック障害は治療を行うことで改善できる病気です。
まずはご自身の身体を休め、治療に専念することだけを考えましょう。
「人手が足りなくて仕事が休めない・・・」と考えるナースの方もいるかもしれませんが、そんなことは今は問題ではありません。
現に、パニック障害の治療を経て、ナースに復帰しバリバリ仕事をこなしている方もいます。
仕事が休めず症状が悪化している自覚があれば、まずは医師に診てもらうことを優先しましょう。
認知行動療法や服薬でパニック障害を克服すれば、新たな気持ちで復職できるはずです。