最近、「心のケア」の必要性が高まっていることから、精神科へ転職するナースの方が増えてきています。精神科は「勤務時間が決まっている」「体力的に楽」「危険手当があり給料が良い」という傾向があり、転職先として人気なのです。しかし、精神科で働く=メリットばかりと思ってしまうのは大間違いです。内科や外科と同じように精神科で働くナースの方にも悩みがあります。
精神科ならではの悩みとはどのようなものでしょうか？詳しくご紹介します。
精神科で働くナースの悩み
精神科は人の心に寄り添って治療を行う診療科であるからこそ、人間関係や心のバランスなどの問題からストレスを受けるナースの方も多いのです。具体的にどのような悩みを抱いているのでしょうか？
患者さんからの暴力に遭う
精神科で働くナースにとって、患者さんからの暴力は無視できない悩みです。およそ7割の精神科で患者さんからの暴力問題が発生していると言われています。
また、患者さんからの暴力は身体的な暴力と精神的な暴力があります。身体的な暴力は男性看護師や複数人で対応したりと、対策を練れば大きな被害になることはありません。しかし、精神的な暴力は、暴言や嫌味を言われ続けることでナースに精神的な苦痛を与えます。また、精神的な暴力は男性看護師がいようともなかなか防ぐことができません。心の病を患っている患者さんの本心ではないこと考えると、より複雑な心境になりますよね。
治療が計画通りに進まない
入院から退院までの患者さんの看護計画がスムーズに進まないことも、精神科で働くナースの方の悩みです。これは一般病棟や慢性期病棟で働くナースの方に多い悩みです。なぜ、看護計画がスムーズに進まないのかというと、患者さんの家族が諸々の事情で自宅へ戻ってくることを拒否するからです。家族が仕事などで忙しく誰も面倒をみきれない場合、退院後の受け皿となる施設やグループホームの数が少ないことから患者さんが自宅へ戻ってくるのを拒む家族も多いのです。
このような理由から、退院までの看護計画がスムーズに進まず、患者さんが長期入院することが多くなってしまうことが精神科で働くナースの悩みの種になっています。
患者さんと上手く関係作りができない
様々な患者さんを対応しているとはいえ、ナースも人間です。精神科患者さんの訴えを聞きすぎてしまうと精神的に疲弊してしまいます。特に精神疾患のある患者さんの願望や暴言を真剣に聞きすぎてしまうと業務に支障が出るほど精神的な負担になります。あまりにひどいと、ナースの方自信が鬱状態になってしまうこともあります。
真面目なナースの方ほど、患者さんとの関係の築き方に悩む方は多いです。しかし、ご自身の精神状態を保つために、患者さんとの距離は適度に保つようにバランスをとりましょう。患者さんにあまり感情移入をしないことが良い関係を築くポイントです。また、プライベートでストレスを発散できるようにしておくことも精神科で気持ちよく働くコツです。
精神科で働くナースのお悩み解決方法
精神科で働くナースの方には、他の診療科では起こりにくい精神科ならではの悩みがあります。心の病を抱える患者さんだからこそ、もう一度コミュニケーションの取り方を見直してみましょう。続いては、精神科で働くナースのお悩み解決方法をご紹介します。
構えすぎず、患者さんと気さくにお話しする
精神疾患を抱える患者さんに対して、構えすぎるナースの方は多くいらっしゃいます。「ちょっとした言葉遣いや発言で患者さんを刺激してしまうかもしれない・・・」という不安を抱く方も多いと思います。しかし、患者さんも私たちと何ら変わりのない人間です。主な心のケアは医師にお任せして、ナースの方はぜひ患者さんと気さくに話すことを心がけてください。
「割り切る」「切り替える」ことを意識する
精神科の患者さんは人一倍、ナースの方の態度や発言に敏感です。むしろ何も言っていないのに暴言や罵倒を浴びせられることもあるでしょう。患者さんから攻撃的な発言をされた場合は、過度に気にしすぎてはいけません。もちろん、あなたに非がないとしても落ち込むことは避けて通れないと思います。しかし、精神科で働く看護師の宿命ということを念頭に、患者さんからの暴言をかけられてもすぐに切り替えるメンタルを持ちましょう。
患者さんの表情を観察する
患者さんは対人関係に関して人一倍気を張っている方が多いです。その分、気持ちが表情に現れることも。患者さんの表情を注意深く観察していれば、患者さんが何を思っているのか、何を求めているのかが理解しやすくなるはずです。
まとめ
精神科は他の診療科に比べて、「体力的に楽」「勤務時間が決まっている」「危険手当で給料が高い」特徴があります。しかし、その分患者さんや患者さんの家族とのコミュニケーションに悩みを持つナースが多いのです。
患者さんからの暴言により、ナースの方が精神的に参ってしまい鬱状態になることも。取り返しのつかないことになる前に、患者さんとのコミュニケーションの取り方を見直してみてはいかがでしょうか？
